2010年11月20日

第4話「バリツの秘密」

 ホームズ探偵学院の裏側に広がるヨコハマ大樹海で、アイリーンという小学生が行方不明者になった。
 ミルキィホームズとG4がその捜索に乗り出すが、シャロと明智が二次遭難してしまう。一端捜索は中止になるが、何とかシャロを助けようと、その夜学院に無断で夜のヨコハマに出ようとするコーデリアたち3人。だが、怪盗帝国の罠にはまって身動きがとれなくなってしまう。一方、シャロと明智はとある洞窟の中でアイリーンと出会う。
 アイリーンがヨコハマ大樹海に足を踏み入れた理由を聞き、何とかアイリーンを助けようと誓うシャロ。翌日3人でヨコハマ大樹海からの脱出を試みるが・・・。

(探偵オペラ ミルキィホームズ 公式サイトより引用)


第4話 ネタ解説

タイトル元ネタ:「時計塔の秘密」
江戸川乱歩作「幽霊塔」を自身で子ども向けに書き直した「時計塔の秘密」より。この作品が収録されているポプラ社発行の少年探偵シリーズはどこの学校にもあって、読みふけった人も多いはず。「幽霊塔」自体は実は黒岩涙香がアリス・マリエル・ウィリアムソンの「灰色の女」を翻案したもので、さらに乱歩がそれを翻案した…というややこしい経緯あり。仕掛けやシチュエーションの類似から、今回パロディされている「ルパン3世 カリオストロの城」の時計塔のモチーフになっている可能性も。

アイリーン・ドアラー
シャーロック・ホームズの冒険」収録「ボヘミアの醜聞」に登場する女詐欺師「アイリーン・アドラー」から。ホームズを出し抜くほどの腕前で、ホームズも煮え湯を飲まされたことから名前を口にするのも嫌なほどで、「あの女」としか呼ばない。シャーロック・ホームズのライバルというとモリアーティ教授というのが定番ですが、実はホームズ本人にとってはアイリーンが一番苦手な敵なんじゃないかと…。

ヨコハマ赤レンガ小学校
咲の台詞にあるアイリーンちゃんの通う小学校の名前。みなとみらい21にある施設「横浜赤レンガ倉庫」から。

「なんぴとたりともあたしの前は走らせないぜーっ!」
六田登の漫画「F」の主人公赤木軍馬の口癖「なんぴとたりとも俺の前は走らせねぇ!」から。F1ブームの最中にアニメにもなったおかげで有名台詞に。車をぶっ飛ばすシーンでのパロディに使用される率高し。

バリツ
シャーロック・ホームズの帰還」冒頭に収録の「空き家の冒険」というエピソードの中で、ホームズが習得していたという謎の東洋武術。「最後の事件」でモリアーティ教授と戦ったときに「バリツという日本の格闘技のおかげで助かった」と言うような台詞があります。おそらく柔道のことではないかと言われていますが…真相は不明。
ちなみに「最後の事件(シャーロック・ホームズの思い出に収録)」で、ホームズものを書くことに疲れたコナン・ドイルは、『シャーロック・ホームズはモリアーティとともにライヘンバッハの滝に落ちて死んでしまった』ということにしてシャーロックホームズシリーズに引導を渡そうとしました(今回シャロが滝に落ちるのはそのシーンのパロディだと思われます)。
しかし、あまりのシャーロックホームズ人気に彼を復活させざるを得ないことになり、結局「空き家の冒険」において、ホームズは「死なずに無事に帰還する」ことになるのです。で、「なぜホームズは死なずにすんだのか」を説明するために作った理由が「バリツというなぞの日本武術」というわけです。

「おびえていただけなんだよね」
宮崎駿のアニメ映画「風の谷のナウシカ」より。ナウシカがおびえるリス(のような小動物)を、指をかまれながらも「こわくない、こわくない」となだめ大人しくさせるというシーンそのままのパロディ。ナウシカはリスと心が通じ合いましたが、シャロは…まあそりゃねー。

森の小道に入っていく大きなネズミ
同じく宮崎駿のアニメ映画「となりのトトロ」より。トトロ(中)メイを誘うように森の小道に入っていくシーン。

「キターっ!」
滝ノ水の水滴がシャロの目に入ったときの台詞。織田裕二出演の参天製薬「サンテFX」コマーシャルから。

「ドキン(ピー)」
トゥエンティの台詞と同時に宙を舞う謎のピンクの物体。目線は入っていますが、どう見てもアンパンマンドキンちゃん

「腕時計があれば方向がわかるわ」
南の方向を指摘したアイリーンの台詞。実際のやり方は「太陽がでている方角に時計の短針を向け、12時と短針との真ん中が南」というもの。遭難したときの常識よ!

ラン♪ランララ♪ランランラン♪
風の谷のナウシカ」のクライマックスシーンより。シャロの服もちゃんとナウシカ同様に青くなっていますし金色の光もまんま。最後に吹っ飛ばされるところまで全く同じ。ていうか外れた音程までマネせんでもいいのにw(ちなみに「風の谷のナウシカ」でこの歌を歌っている子どもは、作曲者久石譲さんの娘)

犬、アライグマ
名作アニメ劇場「フランダースの犬」の「パトラッシュ」。同じく「あらいぐまラスカル」の「ラスカル」。

ドクロの自爆ボタン
タツノコプロアニメ「タイムボカンシリーズ」から。押すときは「ポチッとな」と言うのがお約束。

「さ、3分待ってください」
またまた宮崎駿のアニメ「天空の城ラピュタ」のラストシーン。ムスカ大佐の台詞「3分待ってやる」を受けて。ここから始まる「ラピュタ」パロディーシーケンスはほぼそのまんま。

「おじいちゃんから教えてもらった格闘術」
同じく「天空の城ラピュタ」のラストシーンでのシータの台詞「おばあちゃんに教えてもらった呪文」から。

「縛られたときの縄は食ったよ」
同じく「天空の城ラピュタ」のラストシーンのパズーの台詞「おばさんたちの縄は切ったよ」から。ていうか縄を食うなよ。

「バルス!」
同じく「天空の城ラピュタ」のラストシーンより。この滅びの呪文「バルス」によりラピュタは崩壊する。ていうか「バリツ」じゃないのかよ。ちなみに「天空の城ラピュタ」がテレビで放送されると、2ちゃんねるの実況サーバがこの台詞の瞬間「バルス」の書き込みであふれて飛んでしまう。まさに滅びの呪文。

「がうーっ!がうーっ!」
クマの最後の台詞(鳴き声)ですが、同じく「天空の城ラピュタ」ラストシーンのムスカの最後の台詞「目がーっ!目がーっ!」に間違いなさそう。

「アイリーンちゃんは大切なものを盗んでいきました」
平乃の台詞で「それはわたしたちのこころ…さんです」と続きます。宮崎駿の「ルパン3世 カリオストロの城」ラストシーンでの銭形警部クラリスに向かって言う台詞「ルパンは大変なものを盗んでいきました。あなたの心です」から。


第4話 感想など

ジブリがいっぱい!怒濤のパロディー回で、ここでミルキィホームズにどっぷりはまってしまった人も多いはず。怒濤のバナナ回でもあります。

いきなり「ヨコハマ大樹海」なんていうトンデモ設定に「なんじゃそりゃ」と思ったのもつかの間、畳み掛けるようなパロディシチュエーションと台詞の連続が始まります。

シャロの「その名もーっ、バリツ!」でシャーロキアンはひっくり返った事でしょう。ホームズ作品読者に取って微妙なキーワード「バリツ」をこんな形でパロディーに取り上げるとは…ほんとに侮れません、このアニメ。

しかしいくらお腹がすいているとはいえ、おまえら縄を食べますか。しかもおいしいですか。そして大量のバナナ。1/2、1/4にされるキノコ。食事シーンは健在です

冷静なアイリーンちゃん。ボケのシャロとツッコミの小衣。なんだかアレなパーティーの洞窟脱出珍道中。3人のやり取りのテンポの良さやノリの楽しさは、キャラ同士の組み合わせの妙ですね。ミルキィホームズっぽさ全開です。

こころちゃんがやたら目立っていたのも印象的です。小学生に子ども扱いされたり、バナナ欲しさに開き直ってカワイ子ぶったり、疲れきっていてもわざわざ倒木に上ってシャロに「こころちゃんいうな」とツッコんだり。

幼稚園児こころちゃんの「よいしょ。よいしょ。わーい♪ 空気読め♪」のノリツッコミは伝説級。夢にまで出てきそうです。ていうか出てきて。

(話は外れますが、シャロの「クマに殴られて吹っ飛ばされる」というシーン。まあよくあるギャグ的シーンなんですが、私にとっては昔読んだ「熊嵐(北海道で実際にあった事件を小説にした作品。かなりグロい作品なので注意)」という本のせいでトラウマになっていて、ちょっと「うあああ〜」となってしまいます…)

ネロエリーコーデリアの3人は結局牢屋でバナナを食べていただけで今回活躍の場は無し。しかし、バナナを皮を拾いながら「もしものときに必要だよね。コーデリアさんたちもほしがるかもしれないし」ってシャロの思考はわけわかめです。この子は「ヨダレ」発言もあるからなー。でもかわいいのでゆるされます。かわいいはせいぎです。

とにかくネタがてんこもりで、細かいギャグネタなどは完全にフォローしきれていないです。ていうかネタ調べのために「ラピュタ」見直しちゃったよ。(←ありがちな罠)


第4話 2周目以降の感想など

まー、怒濤のパロディとハイテンションさで一気に見て疲れ果ててしまう、このエピソード。

パロとノリだけで作られているように見えますが、何度か見直してみるとほんとうにシナリオが練り込まれていることがよくわかります。

法華狼の日記さまの「『探偵オペラ ミルキィホームズ』の脚本構成がすごすぎる」という記事が上手く解説してくださっていますが、この第4話は、アニメミルキィホームズのひな形のような脚本の出来ではないかと思います。

シリーズもののアニメとしての前回からのシーンの引き継ぎがあり、一話の中でちゃんとした起承転結があり、伏線をきっちり回収してオチもつけ、次回へのちょっとした引きもあり(第5話で「私たち今はG3です」という平乃の台詞があります)、それを踏まえてなおパロディとギャグをこれでもかと詰め込む…

シリーズシナリオとしても、前回も述べた「アンリエットの積極的動機」による「バナナで分断作戦(笑)」が功を奏したと思われる、シャロの一時的トイズ復活(ギャグシーンなので9話を見ていない初回視聴時はこれがトイズ復活なのかわかりにくい。一種のミスディレクションですね。これも巧妙です)があります。

また、常に一生懸命でがんばるシャロと、シャロ以外のネロ、エリー、コーデリア3人の「トイズ復活にかける意識の温度差」も垣間見えます。

ほんとにギャグに埋もれさすには惜しいくらいのしっかりしたドラマを描いているのがわかると、この第4話のエピソードもまた違った面白さを感じ取れますね。

実はこれ、このアイリーンと小衣ちゃんのエピソードを下敷きにした「サマースペシャル」の脚本にも通じるものがあります。

両エピソードとも奇跡のような出来上がりなんですが、決して奇跡なんかではないと思います。奇跡はそう何度も起きないものです。

しっかりとした実力を持ったスタッフたちが、存分にそのスキルを発揮できたということなんだろうなーと。
アニメであれ商業作品である以上「大人の事情」というものは存在することでしょう。スタッフがいくら優秀でも、そこが大きな壁になることも多いかと思います(実際それをダイレクトに感じてしまう出来の作品も多いですなぁ…)。
そして、それを覆すにはプロデューサーや監督のスキルと手腕が必要です。

アニメミルキィはほんとうに幸せなことに、その全てに恵まれていたということなんだろうな、と感じます。

だからアニメ2期もこのハイクオリティを期待してるぜ!!!!(←いきなりの無茶ぶり)

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この記事へのコメント
ちなみに狙ったのかなんなのか、『ラピュタ』『ナウシカ』
両作とも、あの『名探偵ホームズ』の劇場版との同時上映だったとか
Posted by funnybell at 2011年01月20日 06:15
>funnybellさま
調べてみたらびっくりその通り。そんなつながりまであったとは…
面白い情報ありがとうございました!
Posted by magurow at 2011年01月20日 20:32
日立金属の冶金研究所がついに境界潤滑の原理を解明。
Posted by トライボロジー通信 at 2016年10月31日 21:42
 それでこんかいも天空の城ラピュタがもりあがっていたんか。自動車、自動車部品関連が特殊鋼の結晶の秘密を探りに行くのはあのコースが無難だからな。
Posted by 圧倒的科学力 at 2017年05月08日 22:19
 私も行ったことがあります。島根県安来市ですね。素敵な場所ですよね。
清水寺、足立美術館や和鋼博物館にもいきました。たたら製鉄が盛んだったらしいですね。あと和鋼博物館から見える
十神山、なんかジブリの天空の城ラピュタを思い起こすような、かわいい小山が綺麗でした。地下に続く秘密の無限回廊を降りると、巨大結晶の飛行石があったりして。夜なんかライトアップすればあらたな観光地になりそう。
Posted by 日立AMS at 2017年05月21日 13:26
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