2010年12月08日

第9話「MHの悲劇」

 いつもの屋根裏部屋でミルキィホームズの4人は豪華な食事を楽しんでいた。シャロを先輩と慕うソニアが差し入れてくれたのだ。食事のあとはウィジャボードで楽しんでいたが、夜も遅くなり、何故か紛れ込んでいた根津が、ソニアを部屋まで送り届ける。だがその帰り道、根津は何者かの襲撃を受け倒されてしまう!
 床に残されていたダイイングメッセージにより犯人に疑われてしまうミルキィホームズ。窮地に陥ったシャロたち4人は、ウィジャボードでそれぞれのご先祖様を呼び出し、助けてもらおうと画策するが……。

(探偵オペラ ミルキィホームズ 公式サイトより引用)


第9話 ネタ解説

タイトル元ネタ:「Wの悲劇」
夏樹静子の推理小説「Wの悲劇」より。薬師丸ひろ子主演で映画にもなりました。この「Wの悲劇」自体が、エラリー・クイーンの「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」へのオマージュ作品でもあります。映画のCMで流れていた「顔はぶたないで。私は女優なんだから」という台詞は有名。

来栖ソニア
アルセーヌ・ルパンシリーズの一作「ルパンの冒険」のヒロイン「ソニア・クリスチノフ」。名前の通りロシア人の少女で、なんと作品ラストでルパンと結ばれる。しかし、次作の「奇厳城」でルパンと死別。学院の学生寮「奇厳城」にすむ「ソニア」、まさにそのまんまの設定ですね。(来栖ソニアについては、セミレギュラーキャラとして解説したページを作りましたのでこちらもどうぞ

ウィジャボード
西洋版「こっくりさん」。ウィジャ盤とも言います。遊び方もまんまこっくりさん。エリーの説明の通りプランシェットという駒を複数の人間で指で押さえ、自然に動いた結果を読み取ります。

ポポロくん
小衣ちゃんが交通安全教室の際に使っていた腹話術人形。妙にうしろ頭が大きいのですが、おそらくこれは「IQ1300」の元ネタ、NHK人形劇「プリンプリン物語」に登場する「ルチ将軍」の巨大な頭をパロっているのではないかと思います。

流れる字幕
言わずと知れた、ミルキィホームズ製作委員会の一社「ドワンゴ」が運営する「ニコニコ動画」から。通称「弾幕」。ちなみにニコニコ動画内には「探偵オペラ ミルキィホームズ チャンネル」があり、第1話と最新話が無料で見られます。

「私の灰色の脳細胞でな」
エルキュール・ポアロの決まり台詞「私の小さな灰色の脳細胞が活動を始めた」から。ポアロを表す有名な代表的台詞です。

「探偵って、女に向いている職業だから」
コーデリア・グレイシリーズの第1作「女には向かない職業」から。コーデリア・グレイは探偵という仕事を「女には向いてない」と言われ、「人と話をするということでは、バーの店員と同じよ」と返しています。

「その前にとりあえずキャビアを頼む」
ネロ・ウルフが、専属のコックを雇うほどの「美食家」であることから。いついかなるときでも美食を忘れないウルフらしい台詞です。でも頭にバナナは乗せてるのはどうよ。

「警察? ああ、だからアホなのか」
ポアロに憑依されたエリーの台詞ですが、これはポアロが基本的に警察たちを馬鹿にしていたことから。

「この程度の事件、推理のうちに入らん」
同じくウルフに憑依されたネロの台詞。ネロ・ウルフはこういう感じの「尊大で人を小馬鹿にしたしゃべり」をします。でも頭にバナナは乗せてるのはどうよ。

「KEEP OUT」のテープ
ソニアがシャロ=ホームズを攻撃するのに投げたテープ。犯罪現場で捜査の邪魔をされないよう張り巡らすためのものです。「KEEP OUT」は「立入り禁止」の意。EDでアルセーヌ様の大事なところを隠す役割もあります

寄せ書き
根津くんの御霊前に供えられている。各キャラの文言は以下の通り。
・ネズシャロだョぉー(絵も) シャーロック♡
・貴方の事は忘れないわ…貴方の花園 コーデリア グラウカ
・まあ…その…ヘヴン状態… エルキュール バートン
・逝け ネロ
・お元気で ホームズ探偵学院 生徒会長 アンリエット

ヘヴン状態
バンダイナムコゲームス発売の「DUEL LOVE 恋する乙女は勝利の女神」より。いわゆる乙女ゲーですが、男性キャラの汗を拭いてあげるミニゲームで、最高の状態に達すると男性キャラの表情が恍惚となり、これを「ヘヴン状態」と呼びます。あいかわらずいろんな意味で深いエリーの知識です。

ホームズ 諏訪部順一
OP前のナレーションを当てている諏訪部順一氏が、ホームズおじいちゃんの声優さんです。この「探偵オペラ ミルキィホームズ」というアニメが、ホームズの語りから始まっていると考えたら、また一層面白みを増しますね。


第9話 感想など

いきなり根津くんツンデレ全開。ソニアに先輩と慕われるシャロには違和感アリアリw。ですが「みんなの尊敬を集めていたミルキィホームズ」という設定が、ソニアの態度に反映されているんですね。

ひょんなことから見つけ出したウィジャボードで遊ぶネロ、エリー、コーデリア。学校でやりましたよねー、こっくりさん。絶対誰かが動かしてますよねー。でもほんとに霊が動かしてるのかもねー。

襲われる根津。交通安全教室なんか全くやる気無い小衣ちゃんが第一発見者です。どうでもいいことですが、私の学校へ交通安全教室に来た警察の人たちはやたらノリノリだった思い出が。

根津くん殺人事件」を解決するために、再びウィジャボードを使うミルキィたち。そして出現するご先祖様たち。ネロ、エリー、コーデリアさん3人の変化した外見は、しっかりご先祖様たちの外見を再現しています。ところで「憑依」のトイズはそもそも誰のもの?(追記:ラストシーンの緑のオーラの描写などからポアロおじいいちゃんのトイズのようですね)

ここで「M H」というダイングメッセージを巡っての名探偵3人の推理バトル開始…と思いきや、全く使えないご先祖様たち。私のポアロやコーデリアやウルフのイメージが崩壊していきます。まさにパラダイムシフト

「けっこうエロいあなたです」。エリーに言われたくないです。こころちゃんの言う通りです。木村さんはどうでもいいです
(追記:どうでもいいとも思っていたのですが、実はエリー(=ポアロおじいちゃん)は真犯人がアンリエットだと見抜いていました。侮りがたし)

そこに窓を破って飛んで入ってくるホームズの彫像。「間違えて銅像の方に憑依してしまった」ってあんた。しかし推理は冴えています。あっという間にソニア犯人ばれ。

ここからシャロ=ホームズとソニアのバトルなんですが、ソニアのトイズがシャロのものに似ていますね。同じ「念動力(サイコキネシス)」でしょうか? シャロを先輩と慕う理由にもなっている気がします。

そして、ホームズの助けがあったとはいえ、シャロの「念動力」のトイズが極限まで発揮されます。ここで思い出したのが第4話の滝のシーン。一見織田裕二のCMパロディシーンですが、もしかしてあの場面ではシャロのトイズが復活していたのかも? シャロの赤い光をまとって飛ぶイメージが、今回のこのシーンでの赤いオーラのホームズとだぶります。

あとをアンリエットに託して去るホームズとご先祖様たち。「トイズは大いなる試練によってよみがえる」のメッセージは、今後の展開の大きなキーになりそうです。

ソニアの動機は、「事件を起こしてミルキィホームズたちに解決させることで、ミルキィホームズたちの尊敬を回復させる」こと。そしてそれはアンリエットも「同じようなもの」だと言っています。今まで垣間見えていたアンリエットの「動機」が、もう少しだけはっきりしたような気がします。

騒動の責任を取って、ソニアはポアロ探偵学院に転校。「あなたは探偵になるべき人です。怪盗ではなく」というアンリエットの寛大な処置は、「怪盗」であるのに「探偵」を育てる学院で生徒会長をやっている自分を否定しないため?

「探偵」と「怪盗」という相反する存在は、お互いを否定しながら成り立つものではなく、お互いを認め合わないと存在できません。そしてトイズは「探偵」「怪盗」を選びません。ホームズもアンリエットを「怪盗のお嬢さん」だと知っていながら、シャロたちの事後を託しています。

「探偵」は「怪盗」の存在理由(レゾン・デートル)。それがアンリエットの動機(ホワイ・ダニット)に関わっているとしたら。

この「探偵オペラ ミルキィホームズ」という作品が、単なる「探偵パロディ」ではなく、まさしく「探偵もの」である大きな証左であると言えるのではないでしょうか。

まじめな考察で〆たので誰かほめてください〜(><)。



第9話 2周目以降の感想など

トイズは大いなる試練によって蘇る」と言う言葉がこの9話の最後にでてきます。最終話まで見てみると、文字通り「重要なファクター」でしたね、これが。

で、この「大いなる試練」ですが、私はこれを「自分や仲間が命の危険に晒されるような危険に直面すること」と解釈しています。

過去のエピソードでは、エリーがコーデリアを(3話)、シャロが自分自身を(4話)、ネロが自分とシャロを(7話)助けようとした場面がそれに当たります。

この第9話では、ソニアが落下するのを助けるために発動した極限状態のサイコキネシスの場面。
ホームズおじいちゃんの助けを借りているとは言え、シャロのトイズが復活したものとも見なせるように思えます。

さらに解釈を進めると、11話〜最終話でのミルキィたちのトイズ復活の鍵として、アンリエット自身も「大いなる試練」に立たされていたとも考えらるんじゃないかと。(実際「もっと追い詰めろ」とシャロ追い詰めるために、自分自身を命の危険に晒しています)

シャロにとってアンリエットは「大好きな生徒会長」です。その思いや意識がキーになることを、ホームズおじいちゃんも(自分の何らかの経験を通して?)知っていたのかもしれません。だからホームズはアルセーヌに「あとは頼みましたよ」と、シャロたちの事後を託したんだと思います。

「探偵」と「怪盗」の相互依存関係の話もしましたが、原作の方のシャーロック・ホームズ自身が、「取り組み甲斐がある犯罪が起こらいとつまらない」というようなことを言ったことがあります。ミルキィのほうのホームズおじいちゃんもそれと同じなんでしょうね。だから、アンリエット(アルセーヌ)に「あなたも本気出さないとね」とハッパをかけたのかもしれません。

「あなたこそがシャロにとっての『大いなる試練』になれよ」、と。

探偵オペラ ミルキィホームズ【5】(初回限定特典(ねんどろいどぷち  ネロ)付き) [Blu-ray]
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。